一生に一度でいいからオーロラを見てみたい…
小さい頃からテレビで映像や写真を見るたびにそう思っていました。
アメリカに駐在が決まった時に考えた、絶対やりたかった事の一つがこの『オーロラ鑑賞』
駐在生活も終盤に差し掛かり、子供達も大きくなったので最後の冬はアラスカ州フェアバンクスに行くことに決めました。
オーロラの写真を撮るチャンスなんて一生に何回も無いので、撮るためにはどんな準備が必要で、どんな設定が良いのか分かりませんよね…
この記事では、私が実際に準備したことと撮影の設定をご紹介します。

でもそこはカメラが趣味のものとしては一眼で撮りたい!
ということで…
一眼レフカメラで実際に撮った設定をご紹介します。
オーロラの基礎知識


恥ずかしながらオーロラについて「寒いところで見れる綺麗なやつ」くらいにしか知りませんでした笑
オーロラが発生する原因とメカニズム
地球は大きな磁石と同じで、南極はN極、北極はS極になっています。電気を持った粒(電子や陽子)が太陽から飛んでくると、地球のN極やS極に引き寄せられます。電気を持った粒と空気の粒が当たって、白や赤、緑の光を出します。この現象がオーロラといいます。
環境省ホームページ:南極キッズより
私は7歳と5歳の子供に「太陽のブワってやつが地球に飛んでくると綺麗に光って見えるってことだよ」と説明しました。
んー…我ながら説明が下手すぎますね。
彼らには大きくなったらちゃんと自分で調べて欲しいものです。
オーロラの色と形の変化


オーロラの色には非常に多くのバリエーションがありますが、大きく分けると 3つの色からなります。
高度が高いオーロラでは『赤』、中間は『緑白色』、低いものは『ピンク』です。
・高度が高い部分:
大気が薄く、大気中の酸素原子の割合が大きいため、赤く発光しやすくなります。
・真ん中:
窒素と酸素が発光した青色、赤色、そして緑色とが混ざり合って緑白色の光となります。
・高度が低い部分:
大気中の分子の密度が高く、酸素は発光することができません。その代わり窒素が赤色や青色に発光することによって、ピンク色の光となります。
九州大学付属図書館ホームページより
撮影に必要な機材:一眼レフカメラ編(カメラ、レンズ、三脚など)


カメラ
マニュアルモードで露出(シャッタースピード、ISO感度、F値)を変えられるものならなんでも大丈夫です。
今回の使用機材:Canon 6D MarkⅡ
レンズ
星を撮る時と同じレンズ(明るい広角レンズ)
- 推奨F値:F2.8以下
- 焦点距離:14〜24mm
今回の使用機材:Sigma 20mm F1.4 Art
1番の問題はレンズですよね。F値はキットレンズによくあるF4でも大丈夫です。
少し暗い分、オーロラの動きに合わせてISO感度を上げたり、シャッタースピードを長くして対応。
速い時:ノイズが気にならない程度にISOを上げる
遅い時:シャッタースピードを長くする
(写し方の好みによって正解はありませんので、ご参考までに)
三脚
シャッタースピードを長くするので、なるべく剛性があった方がいいが普段使っている物でOK。
今回の使用機材:Leofoto LS-365L
今回、飛行機移動して実感したんですが、LS-365Lはちょっとゴツすぎ。
旅行でも使うなら、手軽だけどカーボン製でそこそこ剛性があるものを一本持っておくと便利です。
用途別で使い分け始めたらもう完全に沼ですね。
\選び方に迷ったらこちらの記事を参考にどうぞ!/


撮影時の服装とあった方が良いもの
今回訪れたアラスカ フェアバンクスは昼も夜も-30℃でした。
風が無かったのと、待機所を利用したので比較的観測しやすい環境だったと思います。
頭と顔


- バラクラマ(目出し帽)
- 耳当て付きニット帽
上半身


- ヒートテック(ノーマル)
- ヒートテック極暖
- 裏起毛のトレーナー
- ダウンジャケット
下半身


- ヒートテックタイツ
- スキー・スノボウエア
- スノーブーツ
靴


- 普段の靴下
- モコモコ靴下
- スノーブーツ
手袋


- 薄手の作業しやすい手袋
右側の手袋はカメラの操作がし辛くて結局使わなかったです…


指が出せるカメラマン用の手袋があるとベストかもしれません。
普段と操作の感覚が違うので実際につけて、操作の練習をすることをおすすめします!
オーロラ鑑賞・撮影場所の選び方
場所と時期
オーロラが見れる場所は星と同じで街から離れた暗い場所です。
暗い方がいいので、月も新月周辺を狙っていければ完璧。
私は行く期間が冬休みと決まっていたので、タイミングを月齢に合わせることが出来ずほぼ満月でした笑


撮影場所までの移動手段
個人の場合は、レンタカーを使ってあまりお金を掛けずにどこでも好きな場所に行けるのがメリットですが、雪道の運転に慣れていないとちょっと心配ですよね。
ツアーに参加すればホテルまでバンで迎えに来てくれますので運転に自信が無くても安心です。


私はレンタカーを借りていたので、事前に予約した山奥のオーロラ鑑賞ロッジに自分で運転して行きました。
レンタカーの場合、長時間駐車する場合は、凍結防止のためにバンパーから飛び出ているコンセントに繋ぐ必要がありますのでご注意を!
高速道路はきちんと除雪されていますので問題なし。一般道は途中から雪道になりましたが、日本でスキーやスノーボードに行く時に雪道を運転したことがあれば心配ないと思います。


それぞれメリット・デメリットがありますのでご自身の条件にあった方法を選んで欲しいです。
海外の運転・雪道が心配ならツアーに参加しましょう。



海外なのでいつも以上に安全第一です!
\私が利用した待機所はこちら/
Aurora Camp(クリックでVitorというツアーサイトに飛びます)
4時間:$89
トイレ、コーヒー、カップラーメン、スナック


私は価格重視で現地集合しましたが、ホテル送迎もあります。
オーロラが出ていない時はゆっくり過ごして、オーロラが出るとオーナーさんが教えてくれて、みんなゾロゾロと外に出て鑑賞します。




日本語は通じませんがオーナーさんがとっても親切に対応してくれますので、気になる方はこちらをどうぞ!
オーナーさんが中国の方なので、周りのお客さんも中国人が多めでした。
\英語が不安…日本語が通じるツアーを探したい方はこちら/
撮影の設定


ピントの合わせ方
基本的には星の撮影と同じです。
マニュアルフォーカスにして星が1番小さくなるところの合わせればOK!
\詳しいピントの合わせ方はこちら/


カメラの設定:シャッタースピード、絞り、ISO
マニュアルモードにして、それぞれ設定をします。
オーロラは生き物のように動きまわり、タイミングによって大きさや明るさが違うので、その場の判断で設定を変えながら撮影しました。
JPEG画像をカメラのモニターで確認しながら、私が現場でどのように設定を変えていったのかが分かると思います。


- ISO 800
- F1.4
- 10s
月が明るかったので、あまりISO感度を上げたりシャッタースピードを長くすると白飛びする状況でした。
↓


- ISO 100
- F1.4
- 10s
明るすぎたので、ISOをとりあえず100に下げていい感じになりました。
シャッタースピードが10秒なのと、動きがゆっくりなオーロラだったので全体的にモヤっとしています。
↓


- ISO 100
- F1.4
- 2.5s
動きが速いオーロラを線を残して撮りたかったので、シャッタースピードを2.5秒に短くしました。
オーロラは線状になりましたが露出がだいぶ暗いです。
↓


- ISO 400
- F1.4
- 2.5s
シャッタースピードは変えたくなかったので、露出を上げるためにISOを400にしました。
ここで大体の設定に満足したので、この後はほとんどこの設定で撮りましたが、同じ設定でもオーロラの大きさやスピードで写り方は変わってくることを実感しました。


- ISO 400
- F1.4
- 2.5s
設定は同じで、光が強かった瞬間でした。
真上で降り注ぐような光が幻想的。


- ISO 400
- F1.4
- 2.5s
2.5秒だけ動かないで!と言って、奥さんに立ってもらいました笑


- ISO 400
- F1.4
- 2.5s
縦の線が入ったカーテンのようなオーロラを撮ることが出来ました。


撮影後の注意点


冬に暖房を付けると、窓ガラスの内側に水滴が付いていたり、寒いところから急に暖かい部屋に入るとメガネが曇ったろした経験はありませんか?この現象を結露と言いますが、これが本当に厄介。
レンズの内部が結露してしまうと、曇ってしまいクリアな写真が撮れません。また、カビや故障の原因になりますので要注意です。
結露対策:レンズ・カメラ編






こんなでっかいジップロックが日本に売っていない!という場合は現地のスーパーで購入しましょう。
2ガロンサイズならタオルを巻いたまま入れることができます。


もしレンズ内が結露してしまったら
分解して中を拭くことはできません…
シリカゲルのような乾燥剤と一緒に袋に入れて一日以上放置しましょう!
実は、私も気をつけていたのですが、昼間に子供達と外で遊んでいるところを撮ってそのまま家に入ってしまい結露させてしまいました…
乾燥剤を持っていなかったので、シーリングファンの風が当たるところに一日以上放置してなんとか対応しました。
万が一のことを考えて乾燥剤を持っていくことをおすすめします。
それでも取れない場合は、レンズメーカーに修理を依頼しましょう!
結露対策:三脚編
実は三脚も結露対策が必要です。知らずに間違った対応をしてしまうと伸び縮みが出来なくなったり、最悪折れてしまいますので注意が必要。
高価なものですので、カメラと同じくらい大事にしてください!
写真家の米 美智子さんがYouTubeで分かりやすく解説してくれていますのでぜひご覧になってください。
レタッチ方法


RAWデータで撮っておくと、後から露出やホワイトバランスの調整が細かくできることがメリットです。
設定を決めていく中で暗かった写真も、露出を調整してあげるだけで浮かび上がってきます。
シャドウを少し上げて、色味をちょっとだけ好みに調整して完成です。






作例












オーロラはiPhoneでも撮れる?
結論、撮れます!
私の奥さんがiPhoneで撮った写真がこちら。
特に特別な設定もせずに手持ちでここまで撮れちゃうのでびっくりしました。嬉しそうにその場でSNSに投稿していましたね。










まとめ
せっかくロッジがあるのに、いつくるかわからない緊張感と興奮で寒さも忘れてほとんど外にいました。それくらい無心でシャッターを切りたくなるような素晴らしい光景でした。
カメラ:マニュアルモードがあるカメラ
レンズ:星を撮る時と同じ
カメラ設定:F値は最小で固定、好みの写りをするシャッタースピードを決め、ISO感度で明るさを調整
結露対策:カメラごとタオルに包んでジップロックに入れる
4日間いてまともに見れたのはこの一晩だけだったので、色々な設定を試すことができなかったのが残念です…一生に一度と言わず、何回でも見たいと思いました。次は別の国で違った景色と共に写真に収めたいですね!
ぜひカメラを持ってオーロラ鑑賞と撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
少しでも参考になれば幸いです。
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